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二つの展覧会
6月に二つの展覧会に行った。

 6月6日東京・お台場、グレゴリー・コルベール(カナダ)<ashes and snow>展。

 会場は坂茂(ばんしげる)氏が貨物コンテナを壁面、紙管を主柱として建てた巨大な建築物の「ノマディック美術館」。この展覧会専用の移動美術館で、すでにニューヨーク、カリフォルニア・サンタモニカで開催されていた。

 会場内は、世界各地で演出、撮影された「動物と人間の交流」を描いたという映像が、3個所で作品がループ映写されている。その映像の静止画像が、巨大な手漉き和紙に印刷され、カーテンのように下げられ照明が当たっている。

 映像3点を見終わるにはかなりの時間がかかり、動物と人間の交流を描いたとのことだが、動物調教師がいなければ撮影は不可能ではないか、また何故こういう所にこの動物が出てくるのかという疑問も湧いてくる。

 少年が象の前で読んでいる本は、どんなものか。河の中で象に抱かれる女性の身に起こりえる危険を感じたり、鯨と一緒に泳ぐ青年は永遠に息を止めていられるのか、砂漠のなかで老婆と添い寝し、チーターに囲まれている少女の眼に砂が入るのでは、と心配したりする。

 しかし、その一瞬を切り取った静止画像の巨大作品には、それらの疑問、心配の要素は全く無くなる。

 一方6月27日に見た、東京・北の丸公園内での<アンリ・カルティエ=ブレッソン回顧展・知られざる全貌(De qui s'agit-il?)>展は、工学博士谷口吉郎氏の設計によって1969年に建てられた、アカデミックな東京国立近代美術館での開催。

 ヨーロッパ、アメリカ、中国、メキシコなどで撮影された偉大な伝説の作品群がアカデミックな展示方法で壁に並んでいた。

 ほとんどの作品は過去に展覧会、写真集などで見ていたのだが、日本で撮影した「市川團十郎の葬儀・東京・1965」はこの作家が創り出す<決定的瞬間>を改めて思い知らされた。また「シテ島・パリ・1951」に代表される一連の風景画像は新たな感動だった。

 彼自身による<ヴィンテージ・プリント>群の展示。小さな別室で彼へのインタビュー映像、関連映像、彼自身の顔写真、撮影を止めたのちに描いたデッサンなどが展示され、このことが展覧会タイトルの<知られざる全貌>だったのかと無理に納得した。

 この展覧会も2003年4月にパリ国立図書館で開幕、その後ヨーロッパ各地を巡回、2004年8月ベルリンで開催中にブレッソン氏は95歳の生涯を閉じた。

 この二つの展覧会は、長い制作時間と周到な準備の上に開催されたことが感じられる。

 <ashes and snow>は映像が文化的イベントとして、大人数の観客を集められることを証明し、<アンリ・カルティエ=ブレッソン回顧展・知られざる全貌> は、特別ではない街、生活の時間から切り取られた画像が持つ普遍性を実証する。

 どちらも6月にしては真夏のような暑い日だった。

 お台場では会場前でパノラマ画像を撮影し、北の丸公園から皇居を通って東京駅まで歩き、アンリ風スナップ・ショットを試みた。
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